応用情報技術者の難易度

応用情報技術者の合格の前には高い壁があると言われます。私が受験した感想も踏まえて様々な側面から難易度を考えてみました。

難易度は応用情報技術者になる前のソフトウェア開発技術者時代から、「勉強してもなかなか合格できない試験」というのが一般的な評価であるように、数ある国家資格・試験のなかでも難関の部類に入ると思います。合格率だけみれば、20%以上(5人に1人が受かる)と基本情報とそれほど変わらないために、中には「ソフ開よりも簡単になった」とか「基本情報技術者試験の知識からほんの少し勉強すれば合格できる」などという人もいるようですが、その言葉をそのまま受け取って、ろくに対策もせずに受験すると痛い目を見てしまうかもしれません。

まず応用情報技術者試験 受験者の半分以上は当然のように下位試験の基本情報技術者試験の合格者です。さらに実務経験がある中堅のSEやプログラマー、また中には合格のために複数回の受験をしている人も含まれます。一方、基本情報技術者試験は、主に学生や新人のSE・プログラマーが受験する試験です。つまり同じ合格率20%でも、分母になる受験者のレベルが、かなり違うので合格率だけを比べても仕方がないのです。

さて、平成21年春期から現在までの試験データを見てみると、受験率が65%前後とかなり低いことに驚きます。中には事情により試験日程の調整がつかなかった人も含まれますが、申し込みをしたのに受験しなかった人の中にはは、なんらかの理由で勉強途中で挫折し、直近試験合格をあきらめた人もかなりの人数いると思われます。。申し込み者に対しての合格者の割合を計算してみると実に15%前後となります。
 また、情報システム会社に勤務する方の話によると、IT系企業では、会社から強制的に受験申込みをさせられたにもかかわらず、試験当日の日曜日には仕事の都合上、休日出勤を命じられてしまい受験ができないという厳しい状況があるようです。このような現実があることも受験率を下げている要因の一つと言えるのではないでしょうか。

IT初心者が簡単に目指せる試験ではなく、また実務経験者・基本情報技術者試験合格者も決して楽をして合格できる試験ではありません。はっきりいって一般人からみれば何が書いてあるのか、何を聞いているのかさっぱりわからないレベルの問題です。

なぜ難易度が高いのか?

難易度が高い、基本から応用へは厚い壁があると言われているのは、問題レベルの高さもさることながら、出題範囲の広さ午後試験の記述式によるところが大きいと思います。

すでに基本情報技術者試験や、以前にソフトウェア開発技術者を受験された方のためにもわかりやすいように、表で比較をしてみましょう。

ソフ開からの移行で有利な面も

平成21年に試験制度の大幅改正があり、以前までこの区分であったソフトウェア開発技術者から発展的移行という形で応用情報技術者試験がスタートしました。
 その試験制度改正で応用情報技術者へ移行にするに伴い、ソフトウェア開発技術者から変更された点が「午後Ⅱ試験の撤廃」ストラテジ系範囲の追加という2本柱です。

この中で「ストラテジ系範囲の追加」は勉強する範囲が増えるので、以前より難しくなった面ですが、「午後Ⅱ」試験の廃止は受験者の幅を広げる大きなメリットだと思います。ソフトウェア開発技術者時代の「午後Ⅱ」試験は、1時間で与えられた1問の長文問題を解く形式で、毎回アルゴリズムかSQLに関連した複雑な問題が出題されていました。これまでこの「午後Ⅱ」があったために、アルゴリズムやSQLについて深い知識がない人はどうしても合格することができませんでした。 

しかし、応用情報技術者試験になり、午後試験でアルゴリズムやSQLを選択せずに合格が可能になりました。これによって、今までソフ開を敬遠していた人にも合格のチャンスが広がったと言えるのです。

総合的に考えて…

他の試験と比べて表現すれば「基本情報よりはかなり難しいが、ソフ開よりは合格しやすい」という位置にあるのが、応用情報技術者試験です。しっかりとした勉強をすれば学生や非IT系の職でも十分に合格を狙えると思います。

また午後問題は選択次第でセキュリティを除くテクノロジ系問題を回避できるので、プログラミングの知識がない人でも基本情報を飛び越えて、応用情報技術者に合格できるチャンスはあると思います。


Pagetop