通信プロトコル(全97問中9問目)
No.9解説へ
IPv4ネットワークにおけるマルチキャストの使用例に関する記述として、適切なものはどれか。
出典:令和5年秋期 問35
- LANに初めて接続するPCが,DHCPプロトコルを使用して,自分自身に割り当てられるIPアドレスを取得する際に使用する。
- ネットワーク機器が,ARPプロトコルを使用して,宛先IPアドレスからMACアドレスを得るためのリクエストを送信する際に使用する。
- メーリングリストの利用者が,SMTPプロトコルを使用して,メンバー全員に対し、同一内容の電子メールを一斉送信する際に使用する。
- ルータがRIP-2プロトコルを使用して,隣接するルータのグループに,経路の更新情報を送信する際に使用する。
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解説
マルチキャストは、1回の送信で特定のグループに属する複数のホストにIPパケットを送信する方法です。1回で1つのホストに送信するユニキャストと、1回で同じネットワークセグメントに属するすべてのホストに同報送信するブロードキャストの中間に位置する送信方法と言えます。現状、マルチキャストが使用される場面は決して多くはありませんが、①ルータを越えた先の複数のホストに対して同報通信できること、②関係ないホストへの通信が生じないこと、③通信パケットが適宜ルータで複製されるためネットワーク負荷を小さくできる利点から、音声・動画配信やビデオ会議などのストリーミングやルーティングプロトコルで用いられています。IP通信では、宛先IPアドレスを複数指定することはできないので、マルチキャスト通信ではマルチキャストのグループを示す特別なIPアドレス(クラスD:224.0.0.0~239.255.255.255)を宛先として使用します。
- DHCPでIPアドレスの割当てを受けるときには、次のようにブロードキャストが使われます。
- クライアントは、ブロードキャストでDHCPサーバを探索する
- 1.を受信したDHCPサーバは、ユニキャストでクライアントにIPアドレスを提案する
- 2.を受信したクライアントは、ブロードキャストで提案を受けたIPアドレスの利用を要求する
- 3.を受信したDHCPサーバは、ユニキャストでクライアントに確認応答を返す
- ARP(Address Resolution Protocol)でIPアドレスに対応するMACアドレスを取得するときには、次のようにブロードキャストが使用されます。
- 要求元は、解決したいIPアドレスを含めたARPリクエストをネットワークにブロードキャストする
- 解決目的のIPアドレスを持つホストは、自身のMACアドレスを要求元にユニキャストで応答する
- メーリングリストでは、メーリングリスト用の宛先アドレスにメールをユニキャストで送信し、それを受信したメーリングリストサーバが複製したメールを登録者全員にユニキャストで送信する仕組みになっています。
- 正しい。マルチキャストは、RIP-2やOSPF(Open Shortest Path First)といったルーティングプロトコルにおいて、隣接するルータ同士が経路情報を交換するために用いられています。マルチキャストを使うことで、PCなどの不要なホストに無駄なパケットが流れることを防いでいます。なお、RIP-1ではブロードキャストでした。
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