オペレーティングシステム(全131問中28問目)
No.28解説へ
仮想記憶方式で,デマンドページングと比較したときのプリページングの特徴として,適切なものはどれか。ここで,主記憶には十分な余裕があるものとする。
出典:令和2年秋期 問18
- 将来必要と想定されるページを主記憶にロードしておくので,実際に必要となったときの補助記憶へのアクセスによる遅れを減少できる。
- 将来必要と想定されるページを主記憶にロードしておくので,ページフォールトが多く発生し,OSのオーバーヘッドが増加する。
- プログラムがアクセスするページだけをその都度主記憶にロードするので,主記憶への不必要なページのロードを避けることができる。
- プログラムがアクセスするページだけをその都度主記憶にロードするので,将来必要となるページの予想が不要である。
正解 ア問題へ
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解説
ページングは、プログラムやデータを分割して記憶領域を管理しコンピュータの仮想記憶を実現するための方式です。ページングでは、仮想記憶(補助記憶装置)と実記憶(主記憶)間のデータの受け渡しをページという固定長の単位で行いますが、このページのやり取りは「ページフォールトが発生したときに主記憶のどのページを置換えるか」および「どのページをどのタイミングで主記憶に読み込むか」という二つのアルゴリズムに基づいて管理が行われます。
前者の置換え対象を決定する方法としては、LRU(Least Recently Used)やFIFO(First In First Out)があり、後者の読込み対象と読込むタイミングを決定するアルゴリズムとしては、この設問で問われている「デマンドページング方式」や「プリページング方式」があります。
前者の置換え対象を決定する方法としては、LRU(Least Recently Used)やFIFO(First In First Out)があり、後者の読込み対象と読込むタイミングを決定するアルゴリズムとしては、この設問で問われている「デマンドページング方式」や「プリページング方式」があります。
- デマンドページング
- デマンド(demand)とは要求を意味する英語で、その名の通りアクセス要求があった時に要求があったページのみを主記憶に読み込む方式。
メモリ使用量を節約できる、プログラム開始時の主記憶へのロードによる遅延がない、ページの読込みが最小限で済むなどの利点があり、実際のOSでは基本的にこの方式が用いられている。 - プリページング
- ページにアクセス要求がある前に、前もって参照されそうなページを主記憶に読み込んでおく方式。
アクセス要求があった時に周辺のページも同時に主記憶に読み込んだり、プログラムのロード時にたくさんのページを読み込んでおくことで、メモリ使用量は増加するがメモリアクセスの効率を向上させることができる。
- 正しい。プリページングでは予想が当たったときにページイン処理をすることなくそのまま使用できる分、デマンドページングと比較して高速なアクセスが期待できます。
- ページフォールトはプログラムの実行に必要なページが主記憶上にないときに発生する割込みです。主記憶に十分な容量がある環境では、多くの予想ページを読み込んでいる分、デマンドページングよりも必要なページが主記憶にある確率は高まります。よって、ページフォールトの発生率は下がります。
- デマンドページングの特徴です。逆にプリページングでは主記憶の領域を無駄に多く使うことになります。
- デマンドページングの特徴です。予測処理を必要とするプリページングは実装が難しく、予想処理が加わることによりOSのオーバーヘッドが増加する短所があります。
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