労働関連・取引関連法規 (全26問中10問目)
No.10
ソフトウェア開発を下請事業者に委託する場合,下請代金支払遅延等防止法に照らして,禁止されている行為はどれか。
出典:平成31年春期 問79
- 継続的な取引が行われているので,支払条件,支払期日等を記載した書面をあらかじめ交付し,個々の発注書面にはその事項の記載を省略する。
- 顧客が求める仕様が確定していなかったので,発注の際に,下請事業者に仕様が未記載の書面を交付し,仕様が確定した時点では,内容を書面ではなく口頭で伝えた。
- 顧客の都合で仕様変更の必要が生じたので,下請事業者と協議の上,発生する費用の増加分を下請代金に加算することによって仕様変更に応じてもらう。
- 振込手数料を下請事業者が負担する旨を発注前に書面で合意したので,親事業者が負担した実費の範囲内で振込手数料を差し引いて下請代金を支払う。
分類
ストラテジ系 » 法務 » 労働関連・取引関連法規
正解
イ
解説
下請代金支払遅延等防止法(下請法)は、事業者による下請け業者に対する優越的地位の乱用行為を取りしまるために制定された法律です。
法律には「下請け代金の支払い確保」のほかにも親事業者の遵守事項などが条文化されており、親事業者の下請事業者に対する取引を公正に行わせることで、下請け業者の利益を保護することを目的としています。
親事業者があらかじめ下請代金を決定しないで発注し、納品後に価格を交渉・決定することは、一般に、下請事業者は「取引をしない」という選択肢を失っている中で下請代金を交渉することになるため、下請事業者にとって非常に不利な取引方法となります。このようなことのないよう、下請法では、親事業者に対してあらかじめ協議の上、取り決めた下請代金の額を記載した発注書面を交付することが義務付けられています。
しかし、必要記載事項のうち「その内容が定められないことにつき正当な理由があるものについては、その記載を要しないものとし、この場合には、親事業者は、当該事項の内容が定められた後直ちに、当該事項を記載した書面を下請事業者に交付しなければならない」としています。
「イ」の事例では、仕様が未記載の書面を交付するまでは法的に問題ありませんが、確定した仕様を書面ではなく口頭で伝えている部分が、下請法の禁止行為に該当します。
http://www.jftc.go.jp/shitauke/shitaukegaiyo/oyakinsi.html
法律には「下請け代金の支払い確保」のほかにも親事業者の遵守事項などが条文化されており、親事業者の下請事業者に対する取引を公正に行わせることで、下請け業者の利益を保護することを目的としています。
親事業者があらかじめ下請代金を決定しないで発注し、納品後に価格を交渉・決定することは、一般に、下請事業者は「取引をしない」という選択肢を失っている中で下請代金を交渉することになるため、下請事業者にとって非常に不利な取引方法となります。このようなことのないよう、下請法では、親事業者に対してあらかじめ協議の上、取り決めた下請代金の額を記載した発注書面を交付することが義務付けられています。
しかし、必要記載事項のうち「その内容が定められないことにつき正当な理由があるものについては、その記載を要しないものとし、この場合には、親事業者は、当該事項の内容が定められた後直ちに、当該事項を記載した書面を下請事業者に交付しなければならない」としています。
「イ」の事例では、仕様が未記載の書面を交付するまでは法的に問題ありませんが、確定した仕様を書面ではなく口頭で伝えている部分が、下請法の禁止行為に該当します。
- あらかじめ必要な事項が書面で交付されているので問題ありません。
- 正しい。書面の交付を口頭での伝達で代えることはできません。
- 変更に際して正当な理由があるので問題ありません。
- 事前に書面で合意済であり、かつ、正当な理由なので問題ありません。
- 1.受領拒否
- 下請事業者に対して委託した給付の目的物について,下請事業者が納入してきた場合,親事業者は下請事業者に責任がないのに受領を拒む行為
- 2.下請代金の支払遅延
- 物品等を受領した日(役務提供委託の場合は,役務が提供された日)から起算して60日以内に定めた支払期日までに下請代金を全額支払わない行為
- 3.下請代金の減額
- 発注時に決定した下請代金を「下請事業者の責に帰すべき理由」がないにもかかわらず発注後に減額する行為
- 4.返品
- 下請事業者から納入された物品等を受領した後に,その物品等に契約不適合があるなど明らかに下請事業者に責任がある場合において,受領後速やかに不良品を返品するのは問題ありませんが,それ以外の場合に受領後に返品する行為
- 5.買いたたき
- 発注に際して下請代金の額を決定するときに,発注した内容と同種又は類似の給付の内容(又は役務の提供)に対して通常支払われる対価に比べて著しく低い額を不当に定める行為
- 6.購入・利用強制
- 下請事業者に注文した給付の内容を維持するためなどの正当な理由がないのに,親事業者の指定する製品(自社製品を含む)・原材料等を強制的に下請事業者に購入させたり,サービス等を強制的に下請事業者に利用させて対価を支払わせたりする行為
- 7.報復措置
- 下請事業者が親事業者の下請法違反行為を公正取引委員会又は中小企業庁に知らせたことを理由として,その下請事業者に対して取引数量を減じたり,取引を停止したり,その他不利益な取扱いをする行為
- 8.有償支給原材料等の対価の早期決済
- 下請事業者の給付に必要な半製品,部品,付属品又は原材料を有償で支給している場合に,下請事業者の責任に帰すべき理由がないのにこの有償支給原材料等を用いて製造又は修理した物品の下請代金の支払期日より早い時期に当該原材料等の対価を下請事業者に支払わせたり下請代金から控除(相殺)したりする行為
- 9.割引困難な手形の交付
- 下請事業者に対し下請代金を手形で支払う場合,支払期日までに一般の金融機関で割り引くことが困難な手形を交付する行為
- 10.不当な経済上の利益の提供要請
- 下請事業者に対して,自己のために金銭,役務その他の経済上の利益を提供させることにより,下請事業者の利益を不当に害する行為
- 11.不当な給付内容の変更及び不当なやり直し
- 下請事業者に責任がないのに,発注の取消若しくは発注内容の変更を行い,又は受領後にやり直しをさせることにより,下請事業者の利益を不当に害する行為
http://www.jftc.go.jp/shitauke/shitaukegaiyo/oyakinsi.html