応用情報技術者過去問題 令和6年春期 午後問2
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物流業の事業計画に関する次の記述を読んで,設問に答えよ。
B社は,運送業務及び倉庫保管業務を受託する中規模の物流事業者である。従業員数は約100名で,関東甲信越エリアを中心に事業を行っており,高速道路や幹線道路へのアクセスの良い立地に複数の営業所と倉庫を構えている。主に,地場のメーカーと販売店との間の配送などを中心に事業を行ってきたが,同業他社との競争が激しく,ここ数年は収益が悪化傾向にあり,このままでは経営は厳しくなる一方である。B社のC取締役は,この状況の打開に向けて,顧客への新たな価値の提供を目指すべく,経営企画部のD部長に事業計画の立案を指示した。
〔B社の環境分析〕
D部長は,自社の事業の置かれている状況を把握するために,環境分析を実施する必要があると考えた。環境分析には,自社を取り巻く経営環境のうち,自社以外の要因をマクロ的視点とミクロ的視点で分析する外部環境分析と,自社の経営資源に関する要因を分析し,自社の特徴を洗い出す内部環境分析がある。D部長は,経営企画部のE課長に,外部環境分析から実施するよう指示した。E課長は,まず,PEST分析を行い,PEST分析の結果としてB社の事業に影響する要因の概要を表1のように整理した。 次に,E課長は,ファイブフォース分析を進めることにした。ファイブフォース分析の結果,B社が受ける脅威の概要を表2のように整理した。 E課長は,①PEST分析,ファイブフォース分析の順に分析し,その結果について検討した。PEST分析の結果から,aが改正されたことによって,ドライバーを含む労働力の総量が減少することが懸念され,また,社会的要因によってドライバーのなり手が減ることを認識した。このことはファイブフォース分析の結果における売手の交渉力の脅威にも大きな影響を及ぼすことに気が付き,ドライバーの需要に対して供給が減ることから,dと考えた。
E課長は,これらの外部環境分析の結果を踏まえると,b競争の渦中にあり,減収減益となっている現状において,②B社が業界内において競争優位を確立するための分析が必要であると考えた。E課長は,その分析を実施した結果,B社は,好立地にある営業所と倉庫をもっているにもかかわらず,そのことを生かして 多様化する顧客の要望に応えられていないことが収益悪化の原因であると結論付けた。
E課長は,必要な分析を終えてその結果をD部長に報告した。
〔顧客情報の定性的分析〕
E課長は,D部長から,運送・倉庫保管だけの物流サービスから,③マーケットイン志向の物流サービスに転換していくことによって,顧客に新たな価値を提供できるのではないかとアドバイスを受けた。E課長は,これまでの自社の顧客情報の分析は,受注履歴,契約金額などの数値を基に分析を行うことだけであり,数値だけでは捉えきれない顧客の要望を把握する分析を行っていなかったことに気が付いた。
E課長は,顧客との接点が多いドライバーは,運送業務の過程で,顧客の事業に関して様々な気付きを得ているのではないかと考えた。そこで,ドライバーのもつ顧客の事業に関する気付きを把握するために調査を実施した。ドライバーからの回答には,顧客の事業に関する未知の情報,B社に対する期待やクレーム,顧客に対する感想,相対する顧客社員への好悪の感情といった顧客の事業に関する情報とそれ以外の種々雑多な情報が混在していた。しかし,これまでは顧客情報として管理されていなかった様々な情報が含まれており,分析することで,顧客の要望を把握することができるのではないかと考えた。
ドライバーからの回答は,自由記述形式のテキストデータであり,テキストマイニングによる定性的分析を行うことができる。D部長は,テキストマイニングによる分析を行うに当たり,④テキストデータを選別するよう,E課長にアドバイスをした。E課長は,選別したテキストデータの分析の結果,顧客の事業に関するキーワードとして,"コア業務","一括委託"といった単語が頻出しており,"コア業務"は"集中"との単語間の結びつきの強さがあり,複数の単語が同一文章中に共に出現することを意味する共起関係が強く表れていた。E課長は,定性的分析の結果をD部長に報告し,顧客への新たな価値の提供に向けた検討の了承を得た。
〔顧客への新たな価値の提供〕
B社が顧客の業務を確認したところ,B社倉庫から顧客の拠点に荷物が届いた後に,顧客はその荷物の検品やタグ付け,複数の荷物を一つに箱詰めすることといった作業を顧客社内で行うか,又はB社とは異なる事業者へ委託しており,顧客にとって負担となっていた。B社では,昨年,業務効率の向上を図るために営業所と倉庫内のレイアウト変更を実施し,新たな業務を行うことが可能なスペースを確保している。そこで,E課長は,運送,倉庫保管といった従来の業務に加え,検品やタグ付け,箱詰めといった作業を行う流通加工業務を一括で受託して顧客に新たな価値を提供する3PL(3rd Party Logistics)サービスが有効ではないかと考え,D部長に提案した。D部長は,3PLサービスを提供することで,B社の既存顧客の要望を満たすとともに,新たな顧客の獲得につながる可能性もあると考え,E課長の提案に賛同した。さらに,D部長は,顧客が作業を委託している流通加工業者の一つであるR社において,流通加工業務の需要拡大に伴い施設の拡張を検討しているという話を聞いていた。そこで,B社の営業所と倉庫を作業所として,B社の運送・倉庫保管業務とR社の流通加工業務とを組み合わせてサービスする業務提携をR社と行うことで,B社の3PLサービスの提供が可能になるのではないかと考えた。D部長は,E課長に,R社との業務提携の可能性があるかを調査するよう指示した。
E課長は,顧客からR社の紹介を受けて,業務提携の協議を行った。R社との協議を行う中でE課長はR社の状況を次のように把握した。
E課長は,R社との業務提携による3PLサービスの事業化案についてD部長に報告した。D部長は,⑥E課長の事業化案を実現することで,B社の顧客の物流に関わる作業に対する要望を満たすことができる,さらに,B社とR社で業務提携することで顧客を紹介し合って,相互に新たな顧客の開拓につなげられると判断した。D部長は,収益向上によってドライバーの処遇を改善することも含めてC取締役の承諾を得て,E課長に事業化案に基づき事業計画をまとめるよう指示した。
B社は,運送業務及び倉庫保管業務を受託する中規模の物流事業者である。従業員数は約100名で,関東甲信越エリアを中心に事業を行っており,高速道路や幹線道路へのアクセスの良い立地に複数の営業所と倉庫を構えている。主に,地場のメーカーと販売店との間の配送などを中心に事業を行ってきたが,同業他社との競争が激しく,ここ数年は収益が悪化傾向にあり,このままでは経営は厳しくなる一方である。B社のC取締役は,この状況の打開に向けて,顧客への新たな価値の提供を目指すべく,経営企画部のD部長に事業計画の立案を指示した。
〔B社の環境分析〕
D部長は,自社の事業の置かれている状況を把握するために,環境分析を実施する必要があると考えた。環境分析には,自社を取り巻く経営環境のうち,自社以外の要因をマクロ的視点とミクロ的視点で分析する外部環境分析と,自社の経営資源に関する要因を分析し,自社の特徴を洗い出す内部環境分析がある。D部長は,経営企画部のE課長に,外部環境分析から実施するよう指示した。E課長は,まず,PEST分析を行い,PEST分析の結果としてB社の事業に影響する要因の概要を表1のように整理した。 次に,E課長は,ファイブフォース分析を進めることにした。ファイブフォース分析の結果,B社が受ける脅威の概要を表2のように整理した。 E課長は,①PEST分析,ファイブフォース分析の順に分析し,その結果について検討した。PEST分析の結果から,aが改正されたことによって,ドライバーを含む労働力の総量が減少することが懸念され,また,社会的要因によってドライバーのなり手が減ることを認識した。このことはファイブフォース分析の結果における売手の交渉力の脅威にも大きな影響を及ぼすことに気が付き,ドライバーの需要に対して供給が減ることから,dと考えた。
E課長は,これらの外部環境分析の結果を踏まえると,b競争の渦中にあり,減収減益となっている現状において,②B社が業界内において競争優位を確立するための分析が必要であると考えた。E課長は,その分析を実施した結果,B社は,好立地にある営業所と倉庫をもっているにもかかわらず,そのことを生かして 多様化する顧客の要望に応えられていないことが収益悪化の原因であると結論付けた。
E課長は,必要な分析を終えてその結果をD部長に報告した。
〔顧客情報の定性的分析〕
E課長は,D部長から,運送・倉庫保管だけの物流サービスから,③マーケットイン志向の物流サービスに転換していくことによって,顧客に新たな価値を提供できるのではないかとアドバイスを受けた。E課長は,これまでの自社の顧客情報の分析は,受注履歴,契約金額などの数値を基に分析を行うことだけであり,数値だけでは捉えきれない顧客の要望を把握する分析を行っていなかったことに気が付いた。
E課長は,顧客との接点が多いドライバーは,運送業務の過程で,顧客の事業に関して様々な気付きを得ているのではないかと考えた。そこで,ドライバーのもつ顧客の事業に関する気付きを把握するために調査を実施した。ドライバーからの回答には,顧客の事業に関する未知の情報,B社に対する期待やクレーム,顧客に対する感想,相対する顧客社員への好悪の感情といった顧客の事業に関する情報とそれ以外の種々雑多な情報が混在していた。しかし,これまでは顧客情報として管理されていなかった様々な情報が含まれており,分析することで,顧客の要望を把握することができるのではないかと考えた。
ドライバーからの回答は,自由記述形式のテキストデータであり,テキストマイニングによる定性的分析を行うことができる。D部長は,テキストマイニングによる分析を行うに当たり,④テキストデータを選別するよう,E課長にアドバイスをした。E課長は,選別したテキストデータの分析の結果,顧客の事業に関するキーワードとして,"コア業務","一括委託"といった単語が頻出しており,"コア業務"は"集中"との単語間の結びつきの強さがあり,複数の単語が同一文章中に共に出現することを意味する共起関係が強く表れていた。E課長は,定性的分析の結果をD部長に報告し,顧客への新たな価値の提供に向けた検討の了承を得た。
〔顧客への新たな価値の提供〕
B社が顧客の業務を確認したところ,B社倉庫から顧客の拠点に荷物が届いた後に,顧客はその荷物の検品やタグ付け,複数の荷物を一つに箱詰めすることといった作業を顧客社内で行うか,又はB社とは異なる事業者へ委託しており,顧客にとって負担となっていた。B社では,昨年,業務効率の向上を図るために営業所と倉庫内のレイアウト変更を実施し,新たな業務を行うことが可能なスペースを確保している。そこで,E課長は,運送,倉庫保管といった従来の業務に加え,検品やタグ付け,箱詰めといった作業を行う流通加工業務を一括で受託して顧客に新たな価値を提供する3PL(3rd Party Logistics)サービスが有効ではないかと考え,D部長に提案した。D部長は,3PLサービスを提供することで,B社の既存顧客の要望を満たすとともに,新たな顧客の獲得につながる可能性もあると考え,E課長の提案に賛同した。さらに,D部長は,顧客が作業を委託している流通加工業者の一つであるR社において,流通加工業務の需要拡大に伴い施設の拡張を検討しているという話を聞いていた。そこで,B社の営業所と倉庫を作業所として,B社の運送・倉庫保管業務とR社の流通加工業務とを組み合わせてサービスする業務提携をR社と行うことで,B社の3PLサービスの提供が可能になるのではないかと考えた。D部長は,E課長に,R社との業務提携の可能性があるかを調査するよう指示した。
E課長は,顧客からR社の紹介を受けて,業務提携の協議を行った。R社との協議を行う中でE課長はR社の状況を次のように把握した。
- R社は流通加工業務の需要拡大に伴い,社員や作業所を増やし事業を拡大してきたが,作業所の多くは手狭になってきていて,別の作業所を探さなくてはならない。
- 流通加工業務は,荷物の受入れと発送をスムーズに行えることが重要であり,これが作業所の選定上の最優先事項である。
- 希望する場所に作業所を自前でもつことは,作業所の土地の取得費や倉庫の建築費といった初期費用の負担が大きいので,回避したいと考えている。
E課長は,R社との業務提携による3PLサービスの事業化案についてD部長に報告した。D部長は,⑥E課長の事業化案を実現することで,B社の顧客の物流に関わる作業に対する要望を満たすことができる,さらに,B社とR社で業務提携することで顧客を紹介し合って,相互に新たな顧客の開拓につなげられると判断した。D部長は,収益向上によってドライバーの処遇を改善することも含めてC取締役の承諾を得て,E課長に事業化案に基づき事業計画をまとめるよう指示した。
設問1
〔B社の環境分析〕について答えよ。
d に関する解答群
- ITの活用による省力化の脅威が大きい
- 運送料の値下げの要求による脅威が大きい
- ドライバーの賃金上昇に伴う調達コスト増加の脅威が大きい
- 陸送に代わる新たな輸送方法の脅威が大きい
解答入力欄
- a:
- b:
- c:
- d:
解答例・解答の要点
- a:労働基準法
- b:価格
- c:代替
- d:ウ
- マクロ的視点 (6文字)
- 内部環境分析 (6文字)
解説
- 〔aについて〕
空欄に入るのは法律名であること、労働時間の規制を設定するものであることを考えると「労働基準法」が当てはまります。労働基準法は、労働契約、賃金、労働時間、休憩・休日、有給休暇、安全衛生など、労働条件に関する最低限の基準を定めた法律です。
この要因はいわゆる物流・運送業界における「2024年問題」と呼ばれるものです。大企業では2019年4月から、中小企業では2020年4月から時間外労働の上限が規制されましたが、自動車運転業務などの一部の事業についてはその特性上、適用が5年間猶予されていました。この猶予期間が終わる2024年4月から、トラックドライバーの時間外労働の上限が年間960時間に制限されることになりました。1人当たりの稼働時間が少なくなる分、輸送能力に不足が生じて物流が停滞する可能性が懸念されています。
なお、36協定という答えも考えられますが、36協定は労働基準法36条に基づいて定める時間外労働に関する労使協定であり、これ自体は法律名ではないので解答として不適切です。
∴a=労働基準法
〔bについて〕
ファイブフォース分析は、業界の収益性を決める5つの要因から、業界の構造分析を行う手法です。空欄bを含む項番1の業界内の競争の脅威は、業界内要因の既存企業間の競争関係です。
マイケル・ポーターの競争戦略によれば、利益は『価格-コスト』の基本方程式で表され、ファイブフォース分析の5つの競争要因が強まると、価格の低下またはコストを高めるように作用します。既存企業同士の競争は、価格競争、宣伝合戦、新製品の開発競争、サービス競争など様々な形で起こり、いずれも収益性の低下またはコストの増大を引き起こします。
B社の状況に当てはめてみると、問題文冒頭に「同業他社との競争が激しく,ここ数年は収益が悪化傾向」と記載されています。その原因として、項番1の脅威の内容として「コモディティ化して…」とあります。コモディティ化は、ある製品やカテゴリーについてメーカーや販売会社ごとの機能的・品質的な差異がごくわずかとなり、均一化している様子をいいます。このような状態では、価格以外の差別化要素がないため値下げ競争に陥りやすくなります。したがって、B社が直面している競争は「価格」競争であると言えます。
∴b=価格
〔cについて〕
ファイブフォース分析の5つの競争要因は、❶売り手の交渉力、❷買い手の交渉力、❸既存企業間の競争関係、❹新規参入の脅威、❺代替品の脅威です。前3つが業界内要因、後2つが業界外要因です。表2項番3の脅威の内容、他の4つの競争要因と□□□サービスという文脈より、空欄cには「代替」が当てはまると判断できます。
代替品・サービスとは、その業界の製品・サービスと同じ基本的ニーズを異なる方法で満たすものを指します。代替品・サービスが存在する場合、企業が価格を引き上げると、顧客がその代替品に移ってしまう可能性があるため業界の収益性を制限する要因となります。
∴c=代替 - 〔dについて〕
空欄dの前に記述されている「ドライバーの需要に対して供給が減る」点が、売り手の交渉力の脅威に与える影響を考えます。ファイブフォース分析における売り手とは、供給業者や労働力(自社の従業員)を指します。
ドライバーの需要に対して供給が減ると、企業側では新規雇用や維持のため賃金引上げの圧力が強まり、ドライバーを確保するための調達コストが増大します。したがって「ウ」が適切な記述です。- 省力化が進むとドライバーの需要が減るため、売り手の交渉力が弱くなる例です。
- 運送業者であるB社に対して、運送料の引き下げを求めるのは顧客側です。よって、買い手の交渉力の脅威が強まる例です。
- 正しい。ドライバーに対する需要が高まった結果、売り手の交渉力が強まり、コスト増大を招くと予想されます。
- 従来の陸送から、新たな運送方法に置き変わる脅威のため、代替品の脅威が強まる例です。
- 〔B社の環境分析〕には「自社以外の要因をマクロ的視点とミクロ的視点で分析する外部環境分析」とあります。外部環境のマクロとミクロの違いですが、マクロ環境とは、企業が直接コントロールできない外部要因(政治、経済、社会的、技術的要因など)であり、ミクロ環境とは、企業がある程度コントロールできる外部要因(競合他社、買い手、売り手など)です。
マクロとミクロの違いを踏まえると、PEST分析は表1のとおり、政治的、経済的、社会的、技術的4つの面から行う分析なので、マクロ的視点からの外部環境分析に該当します。一方、その後に行ったファイブフォース分析は競合などに焦点を当てるため、ミクロ的視点での外部環境分析に該当します。PEST分析の『視点』に関連した本文中の字句で6文字なので、答えは「マクロ的視点」が適切です。
∴マクロ的視点 - 下線②の直前には「これらの外部環境分析の結果を踏まえて,B社が業界内において競争優位性を確立するための分析が必要である」という記述があります。〔B社の環境分析〕には「環境分析には,…外部環境分析と…内部環境分析がある。…外部環境分析から実施するように指示した」という記述があるように、外部環境分析の後に内部環境分析を行うことがわかります。
経営戦略では、先にマクロ→ミクロの順で外部環境分析を行い、自社ではコントロールできない要因を把握します。その後、内部環境分析により、業界内での競争優位性を確立し、外部環境分析の結果を踏まえて総合的に評価することが一般的です。内部環境分析の手法としては、SWOT分析、3C分析、VRIO分析などがありますが、本文中には具体的な分析手法の名称は記載されていません。「本文中の字句を用いて」という指定を考慮すると、そのまま「内部環境分析」が答えとなります。
∴内部環境分析
設問2
〔顧客情報の定性的分析〕について答えよ。
解答群
- 既存市場向けの物流サービスを新たな市場に提供する。
- 競合他社よりも相対的に低価格となる物流サービスを提供する。
- 自社が市場で優位性をもつ技術を活用した物流サービスを提供する。
- 市場調査を行い,顧客ニーズを満たす物流サービスを提供する。
解答入力欄
解答例・解答の要点
- エ
- 顧客の事業に関するテキストデータを分析の対象とする (25文字)
解説
- マーケットイン志向は、企業が商品やサービスを開発する際に、市場や顧客のニーズを優先して考えるアプローチです。マーケットイン志向の基本的な考え方は、市場の動向や顧客の声に基づき、顧客が何を求めているのか、どのような問題を抱えているのかを理解し、それに基づいて製品やサービスを設計・提供することです。
これとは逆に、企業方針・作りたい物・売りたい物を基準に製品・サービスを提供していく考え方もあり、こちらはプロダクトアウト志向と呼ばれます。「良いものであれば売れる」という考え方で、自社の技術や強みを生かした商品展開を行います。
したがって、マーケットイン志向に該当するのは「エ:市場調査を行い,顧客ニーズを満たす物流サービスを提供する」です。- 既存製品・サービスを新しい市場に提供することは、アンゾフの成長マトリクスの新市場開拓戦略に該当します。
- 低価格により市場競争力を獲得することは、コストリーダーシップ戦略に該当します。
- 市場で優位性をもつ技術を活用して製品・サービスを提供することは、コアコンピタンス経営に該当します。
- 正しい。市場の動向や顧客の声に基づき、顧客ニーズを満たす製品・サービスを提供する方針は、マーケットイン志向に該当します。
- テキストマイニングは、大量のテキストデータから、隠れた情報や特徴、傾向、互いの関連性を探し出す技術です。
〔顧客情報の定性的分析〕では、顧客との接点が多いドライバーが、顧客の事業に関して様々な気付きを得ているのではないかと記述されています。このため、ドライバーにアンケートを行って、顧客の事業に関する気付きを把握するための調査が実施されています。しかし、ドライバーの回答には、顧客の事業に関する情報のほかにも種々雑多な情報が含まれており、それらが混在しています。今回の分析で求めているのは顧客の事業に関するデータなので、顧客の事業に関するテキストデータとそれ以外に選別することになります。
∴顧客の事業に関するテキストデータを分析の対象とする
設問3
〔顧客への新たな価値の提供〕について答えよ。
解答入力欄
解答例・解答の要点
- 好立地にある営業所と倉庫 (12文字)
- 一括委託することでコア業務に集中したいという要望 (24文字)
解説
- E課長が把握したR社の状況をまとめると次の3点です。
- 業務拡大のため別の作業所を探している
- 荷物の受入れと発送をスムーズに行えることが、作業所選定の最優先事項である
- 作業所を自前でもつことは回避したい
∴好立地にある営業所と倉庫 - 設問には「選別したテキストデータの分析の結果の字句を用いて」という条件があります。テキストデータの分析の結果については〔顧客情報の定性的分析〕に記述があり、「テキストデータの分析の結果,顧客の事業に関するキーワードとして,"コア業務","一括委託"といった単語が頻出しており,"コア業務"は"集中"との単語間の結びつきの強さがあり,…共起関係が強く表れていた」とあります。これより、解答には"一括委託"、"コア業務"と"集中"という3つの字句を絡める必要があります。
問題文の〔顧客への新たな価値の提供〕には「B社倉庫から顧客の拠点に荷物が届いた後に,顧客はその荷物の検品やタグ付け,複数の荷物を一つに箱詰めすることといった作業を顧客社内で行うか,又はB社とは異なる事業者へ委託しており,顧客にとって負担となっていた」ことが記述されています。これを受けて、B社では既存顧客の要望を満たすために、流通加工業務を一括で受託する3PLサービスを提案しています。
B社の既存顧客にとっては、流通加工業務をB社に一括委託することで、これらの業務負担から解放され、自社のリソースをコア業務に集中させることが可能になります。これが、テキストマイニングと現状分析より読み取れる顧客の要望につながります。テキストデータの分析の結果の字句を用いると、顧客の要望は「流通加工業務を一括委託して、コア業務に集中したいという要望」という表現に整理できます。
∴一括委託することでコア業務に集中したいという要望