応用情報技術者過去問題 平成28年秋期 午後問2
⇄問題文と設問を画面2分割で開く⇱問題PDF問2 経営戦略
コンビニエンスストアにおけるマーケティング戦略に関する次の記述を読んで,設間1~4に答えよ。
X社は,コンビニエンスストア(以下,コンビニという)のフランチャイズチェーンを全国に展開する会社であり,業界では大手である。フランチャイズ店の数を増やしたり,POSシステムやポイントカードで集まる情報を有効活用したりして,売上を伸ばしてきた。しかし,最近では他社のコンビニの店舗数も増え,さらに,スーパーマーケット,ドラッグストア,ファーストフード店などとも競合するようになり,競争が一層激しくなってきている。従来は若者が顧客の中心であったが,高齢化が進み,中高年者の割合が増えてきているので,中高年者をいかにして取り込むかが,今後の売上を伸ばすポイントとなっている。
X社では,売上を伸ばすために,マーケティングに力を入れている。X社のマーケティング部のY君は,Z部長の下,マーケティング戦略策定を担当している。
〔マーケティング戦略策定プロセス〕
マーケティング部では,マーケティング戦略の4Pのフレームワーク,すなわち,製品戦略(Product),価格戦略(Price),流通戦略(Place),及びプロモーション戦略(Promotion)を十分に検討した上で具体的な戦略を考えている。その際,売上を拡大する三つの方法,つまり,顧客数を増やす,a,及び購買頻度を上げる,のそれぞれの観点からも戦略を考えている。
〔現行のマーケティング戦略〕
4Pのフレームワークを使って整理した現行のマーケティング戦略は,次のとおりである。
X社のマーケティング部では,最近の市場環境の変化を踏まえ,改めて環境分析を行って,顧客市場をグループ分けした。その結果,中高年者の取込みを長期目標として掲げ,④取り込むべき顧客に,自社や自社製品に関してポジティブなイメージを植え付ける施策を行うことにした。
Y君は,その一環として,次のような施策の実施を検討している。
〔Z部長の指摘〕
Y君は,これらの〔最近の検討〕の内容をZ部長に説明したところ,Z部長から,長期目標を考慮して,プロモーション戦略についても見直すべきであると指摘された。
X社は,コンビニエンスストア(以下,コンビニという)のフランチャイズチェーンを全国に展開する会社であり,業界では大手である。フランチャイズ店の数を増やしたり,POSシステムやポイントカードで集まる情報を有効活用したりして,売上を伸ばしてきた。しかし,最近では他社のコンビニの店舗数も増え,さらに,スーパーマーケット,ドラッグストア,ファーストフード店などとも競合するようになり,競争が一層激しくなってきている。従来は若者が顧客の中心であったが,高齢化が進み,中高年者の割合が増えてきているので,中高年者をいかにして取り込むかが,今後の売上を伸ばすポイントとなっている。
X社では,売上を伸ばすために,マーケティングに力を入れている。X社のマーケティング部のY君は,Z部長の下,マーケティング戦略策定を担当している。
〔マーケティング戦略策定プロセス〕
マーケティング部では,マーケティング戦略の4Pのフレームワーク,すなわち,製品戦略(Product),価格戦略(Price),流通戦略(Place),及びプロモーション戦略(Promotion)を十分に検討した上で具体的な戦略を考えている。その際,売上を拡大する三つの方法,つまり,顧客数を増やす,a,及び購買頻度を上げる,のそれぞれの観点からも戦略を考えている。
〔現行のマーケティング戦略〕
4Pのフレームワークを使って整理した現行のマーケティング戦略は,次のとおりである。
- 製品戦略
- おにぎり,おでん,弁当,飲料などの商品を"戦略商品"と位置付けている。戦略商品では,スーパーマーケットにはない規格の商品を企画したり,プライベートブランドの商品を開発したりして,差別化を図っている。
- X社のブランドで,おいしいコーヒーの提供を行っている。豆からひくことができるマシンを開発し,豆選びや煎リ方などをはじめとして,味にとことんこだわった。一方で,コストを抑えられるように,顧客にレジでカップを渡し,顧客自身がコーヒーを入れるセルフサービス方式としている。このコーヒーは大きな成功を収め,"X社のブランドのコーヒーが飲みたい"という多くの顧客を創出した。
- 価格戦略
- 顧客は利便性に対しても価値を見出してくれるという考えから,スーパーマーケットなどとは異なる価格設定をしている。
- 前述のコーヒーは,初期投資に多額の費用が掛かったが,①初期投資の早期回収よりも,高いマーケットシェアの獲得を優先させて,価格を設定した。
- 流通戦略
- コンビニに来店する顧客の多くは,買いたい商品や受けたいサービスなど,目的が決まっているが,目に留まる商品をついでに買っていくことも多いので,顧客の購買目的となることが多い弁当類は,一番奥に陳列している。
- POSデータを活用し,店舗だけでなく配送センタの在庫も極力抑えた上で,店ごとに売れる商品を売れる時間に店頭に陳列できるように配送するシステムを使用している。商品ごとの発注量は,本部と店舗のそれぞれでシステムに入力したり,修正したりすることができる。
- その日の天候,本部のプロモーション企画,小中学校の運動会などの地域行事によって,売れる商品やその量が大きく変わる。本部では,過去のPOSデータをこれらの要因からも分析し,店舗ごとに商品別発注量を提示している。しかし,地域行事は年ごとに変更されることもあり,本部で把握している情報だけでは万全とはいえず,②店舗では,在庫不足で販売機会を喪失したり,在庫過多で弁当などの商品の廃棄が出たりすることがある。
- 来店する顧客が昼休みの時間帯に集中するので,店舗の人員を増やして対応するようにしている。しかし一方で,来店する顧客が少ない時間帯もあり,一日の中で繁閑の波がある。
- 利益は薄いが,③来店する顧客を増やすことによる他のメリットが期待できるので,映画やコンサートのチケットなどの予約もできる機器を店内に設置している。
- プロモーション戦略
- X社では,商品の販売を促進するためだけでなく,企業イメージ向上のために,TVコマーシャルなどで,全世代をターゲットにした広告を出している。
X社のマーケティング部では,最近の市場環境の変化を踏まえ,改めて環境分析を行って,顧客市場をグループ分けした。その結果,中高年者の取込みを長期目標として掲げ,④取り込むべき顧客に,自社や自社製品に関してポジティブなイメージを植え付ける施策を行うことにした。
Y君は,その一環として,次のような施策の実施を検討している。
- カロリーや糖質を抑えた,健康に配慮した商品を多く採用する。
- 医薬品については,治療薬重視の品ぞろえから転換し,予防薬の品ぞろえを今まで以上に充実させる。
- 高齢化に伴い,車の運転ができなくなったり,長い距離を歩けなくなったりして,コンビニに来たくても来ることができない高齢者が増えているという仮説を立てた。この仮説の下,店舗から近隣地域に宅配サービスを行う事業の検討を開始した。市場の規模は見込めるか,市場の成長性は高いか,収益性は高いか,法規制など社会的な環境要因に問題はないかを調査する予定である。また,X社の長期目標に沿っているかの分析の他に,⑤既存の人的リソースの活用という観点から,必要な内部環境の分析を行う予定である。
〔Z部長の指摘〕
Y君は,これらの〔最近の検討〕の内容をZ部長に説明したところ,Z部長から,長期目標を考慮して,プロモーション戦略についても見直すべきであると指摘された。
設問1
本文中のaに入れる適切な字句を,15字以内で答えよ。
解答入力欄
- a:
解答例・解答の要点
- a:顧客単価を上げる (8文字)
解説
4Pのフレームワークに関する問題です。
4Pは、問題文にある様に、製品戦略(Product)、価格戦略(Price)、流通戦略(Place)、及びプロモーション戦略(Promotion)の4つの「P」からマーケティングを検討することからきています。
aは、売上を拡大する方法についてです。顧客を増やす、購買頻度を上げる以外の方法が答えになります。売上の公式は「顧客数×客単価×購買頻度」であるとされており、この中で該当するのは、客単価をあげることです。
∴a=顧客単価を上げる
4Pは、問題文にある様に、製品戦略(Product)、価格戦略(Price)、流通戦略(Place)、及びプロモーション戦略(Promotion)の4つの「P」からマーケティングを検討することからきています。
- 製品戦略(Product)
- 製品の品質、ブランド戦略などを中心に考えます。
- 価格戦略(Price)
- 価格設定、原価など、金銭面を中心に考えます。
- 流通戦略(Place)
- 輸送、在庫、調達方法など、流通面を中心に考えます。
- プロモーション戦略(Promotion)
- 広告や、広報活動を中心に考えます。
aは、売上を拡大する方法についてです。顧客を増やす、購買頻度を上げる以外の方法が答えになります。売上の公式は「顧客数×客単価×購買頻度」であるとされており、この中で該当するのは、客単価をあげることです。
∴a=顧客単価を上げる
設問2
〔現行のマーケティング戦略〕について,(1)~(3)に答えよ。
解答群
- コストプラスプライシング
- スキミングプライシング
- ペネトレーションプライシング
- マークアッププライシング
解答入力欄
解答例・解答の要点
- ウ
- 地域行事の情報を入手し,商品ごとの発注量を修正する (25文字)
- 目に留まる商品をついでに買っていくことによる売上の向上 (27文字)
解説
- 価格戦略に関する用語問題になります。下線①より「初期投資の早期回収よりも、高いマーケットシェアの獲得を優先させて、価格を設定した」ことに関連する手法を選択します。
- コストプラスプライシングは、商品の製造コストに一定の利幅を加えて製品価格とする手法です。
- スキミングプライシングは、早期の資金回収を目的として、価格を高く設定する手法です。
- 正しい。ペネトレーションプライシングは、市場シェアを獲得するために、利益度外視で価格設定をすることです。
- マークアッププライシングは、仕入れ原価に一定率の利益を上乗せして価格を決定する方法です。
- 需要と供給のバランスがあっていないことが原因です。その変動を大きくしている要因として、地域行事が関係しているとみてとれます。本文より、「地域行事は年ごとに変更されることもあり、本部で把握している情報だけでは万全とはいえず」とあります。また、「商品ごとの発注量は,本部と店舗のそれぞれで…修正したりできる」ので、地域に根ざした店舗側で地域行事の情報を入手し、商品の発注量を修正することで需給バランスを最適化する策が考えられます。
∴地域行事の情報を入手し,商品ごとの発注量を修正する - 単に来店客が増えることで、どのようなメリットがあるか考えます。本文中の流通戦略に、「コンビニに来店する顧客の多くは…目に留まる商品をついでに買っていくことも多いので」とあるように、コンビニでは様々な手段で来店を促し「ついで買い」を誘う戦略が用いられています。
コンビニにとってチケット予約機器や公共料金の支払い、宅配便の集荷などは薄利ですが、そのため来店した顧客がその目的と同時に(または目的達成後に)別の商品を買う機会が増すため売上の増加が期待できる訳です。
したがって、チケット予約機器の設置で来店客が増えることによる他のメリットとは「目に留まる商品をついでに買っていくことによる売上の向上」になります。
∴目に留まる商品をついでに買っていくことによる売上の向上
設問3
〔最近の検討〕について,(1),(2)に答えよ。
解答群
- セグメンテーション
- ターゲティング
- ポジショニング
- マスカスタマイゼーション
解答入力欄
解答例・解答の要点
- ウ
- 店舗の既存の人員で宅配が可能か (15文字)
解説
- 下線④より「取り込むべき顧客に,自社や自社製品に関してポジティブなイメージを植え付ける施策」に関連する施策を選択します。
- セグメンテーションは、市場をニーズや性質に応じて細分化する活動です。
- ターゲティングは、複数の候補の中から競争優位を得やすい自社が参入すべき市場セグメントを選定する活動です。
- 正しい。ポジショニングは、市場に対して、競合と差別化した自社製品のイメージを植え付ける活動です。
- マスカスタマイゼーションは、ICT等を活用し、少量多品種でも効率よく製造することです。
- 最初に、なぜ分析を行う必要があるかを考えます。本文より、宅配サービスを行う検討を開始したことがわかりますので、これについて「既存の人的リソース」の観点で分析することを考えます。宅配を開始するのであれば、荷物を配達する人員が必要があります。
現状のX社コンビニは「昼休みの時間帯のために店舗の人員を増やしているが、…来店する顧客が少ない時間もあり、繁閑の波がある」という状況なので、閑散時間帯における人員の余剰を宅配サービスに活用しようとしていることがわかります。
よって、内部環境として「店舗の既存の人員で宅配が可能かどうか」を分析する必要があると判断できます。
∴店舗の既存の人員で宅配が可能か
設問4
〔Z部長の指摘〕について,プロモーション戦略をどのような内容に見直すベきか。20字以内で述べよ。
解答入力欄
- o:
解答例・解答の要点
- o:中高年者に向けた広告を行う (13文字)
解説
Z部長からは、長期目標とプロモーション戦略が合致していないと指摘されています。本文の〔最近の検討〕より、X社は長期目標として「中高年者の取込み」を掲げています。一方で、プロモーション戦略では、TVコマーシャルなどで「全世代をターゲットにした広告を出している」とあります。ここに矛盾があります。
本問では、プロモーション戦略をどのように見直すべきかについて問われています。Z部長は「長期目標を考慮して」と指示しているので、長期目標に合わせて「中高年者をターゲットにした広告」に変更するべきと言えます。
∴中高年者に向けた広告を行う
本問では、プロモーション戦略をどのように見直すべきかについて問われています。Z部長は「長期目標を考慮して」と指示しているので、長期目標に合わせて「中高年者をターゲットにした広告」に変更するべきと言えます。
∴中高年者に向けた広告を行う