応用情報技術者過去問題 平成22年春期 午後問10
⇄問題文と設問を画面2分割で開く⇱問題PDF問10 プロジェクトマネジメント
EVM(Earned Value Management)に関する次の記述を読んで,設問1~4に答えよ。
A社では,顧客のニーズにきめ細かく対応し,マーケティングを強化するためにCRM(Customer Relationship Management)システムを導入することを決定した。
CRMシステムの構築プロジェクトでは,できるだけ早期の完了を目指し,プロジェクトにはA社のほかに,ITベンダとしてB社,C社が参加する。
構築するCRMシステムにはソフトウェアパッケージを用いる。B社は導入するパッケージのカスタマイズと,開発完了後の操作説明会の実施を担当し,C社はインフラの構築とハードウェアの納入を担当する。
作業の進捗は,A社で定期的に行われる進捗会議において,B社及びC社からの報告内容を基に,EVMで管理することにした。
EVMでは,主にPV(計画価値),EV(出来高),AC(実コスト)を用いてプロジェクトの進捗を管理する。PV,EV及びACから,次の式で,コストとスケジュールのそれぞれに関する効率指数を算出できる。
〔プロジェクトの計画〕
プロジェクトを完了させるために必要なタスクを表1に示す。各社について,表1のリソース欄に値が入っていないタスクは作業スコープ外である。
また,表1を基に作成したアローダイアグラムを,図に示す。 今回のプロジェクトでは,工期を延ばすと開発完了後の操作説明会の日程調整に影響する危険性が高まってしまうので,計画を変更する必要がある場合でも,開発の工期はできるだけ延ばさない方針とした。
〔プロジェクトのコントロール〕
プロジェクト開始から3か月の時点で,A社,B社,及びC社から報告された進捗率をもとに,EVMで用いる値を算出し,表2を作成した。
なお,ACは実投入工数を人件費に換算したものであり,B社,C社の人月当たりの人件費は,B社スタッフが90万円,C社スタッフがd万円である。
表2中で算出された値から,プロジェクトの計画変更などの対応策を検討する必要があると判断できる。 プロジェクトの計画変更を検討するに当たって,表2の内容からは,次のことが分かる。
A社では,顧客のニーズにきめ細かく対応し,マーケティングを強化するためにCRM(Customer Relationship Management)システムを導入することを決定した。
CRMシステムの構築プロジェクトでは,できるだけ早期の完了を目指し,プロジェクトにはA社のほかに,ITベンダとしてB社,C社が参加する。
構築するCRMシステムにはソフトウェアパッケージを用いる。B社は導入するパッケージのカスタマイズと,開発完了後の操作説明会の実施を担当し,C社はインフラの構築とハードウェアの納入を担当する。
作業の進捗は,A社で定期的に行われる進捗会議において,B社及びC社からの報告内容を基に,EVMで管理することにした。
EVMでは,主にPV(計画価値),EV(出来高),AC(実コスト)を用いてプロジェクトの進捗を管理する。PV,EV及びACから,次の式で,コストとスケジュールのそれぞれに関する効率指数を算出できる。
- CPI(コスト効率指数)=a/b
- SPI(スケジュール効率指数)=a/c
〔プロジェクトの計画〕
プロジェクトを完了させるために必要なタスクを表1に示す。各社について,表1のリソース欄に値が入っていないタスクは作業スコープ外である。
また,表1を基に作成したアローダイアグラムを,図に示す。 今回のプロジェクトでは,工期を延ばすと開発完了後の操作説明会の日程調整に影響する危険性が高まってしまうので,計画を変更する必要がある場合でも,開発の工期はできるだけ延ばさない方針とした。
〔プロジェクトのコントロール〕
プロジェクト開始から3か月の時点で,A社,B社,及びC社から報告された進捗率をもとに,EVMで用いる値を算出し,表2を作成した。
なお,ACは実投入工数を人件費に換算したものであり,B社,C社の人月当たりの人件費は,B社スタッフが90万円,C社スタッフがd万円である。
表2中で算出された値から,プロジェクトの計画変更などの対応策を検討する必要があると判断できる。 プロジェクトの計画変更を検討するに当たって,表2の内容からは,次のことが分かる。
- B社,C社のいずれも,gが小さすぎるタスクは存在しないので,タスク自体の進め方を変える必要はない。
- C社のタスクのうち,進行中のものは,当初のスケジュールと比べて日程に遅れが出ていても,h上にはないので,全体のスケジュールに影響を与える状況には至っていない。
設問1
本文中のa~cに入れる適切な略号を答えよ。
解答入力欄
- a:
- b:
- c:
解答例・解答の要点
- a:EV
- b:AC
- c:PV
解説
EVM(Earned Value Management)は、プロジェクトにおける作業を金銭の価値に置き換えて定量的に実績管理をする進捗管理手法です。
EVMではPV、EV、ACの3つの指標を用いて管理するのが特徴です。
また上記を指数化したものとして、CPIとSPIがあります。
もし当てはまる字句が分からない場合でも、後に登場する表2でCPIとSPIが記載されているので、この表の値から式を導出することも可能になっています。
※差異を求める場合でも指数を求める場合でも、EVは必ず式の前側にきます。後はコストであればAC、スケジュールであればPVを使うだけです。これを頭に叩き込みましょう。
EVMではPV、EV、ACの3つの指標を用いて管理するのが特徴です。
- PV(Planned Value)
- プロジェクト開始当初、現時点までに計画されていた作業に対する予算
- EV(Earned Value)
- 現時点までに完了した作業に割り当てられていた予算
- AC(Actual Cost)
- 現時点までに完了した作業に対して実際に投入した総コスト
また上記を指数化したものとして、CPIとSPIがあります。
- CPI(コスト効率指数)
- 「CPI=EV/AC」で算出し、1.0より大きければ実コストが計画より削減、1.0ちょうどで計画通り、1.0より小さければコスト超過を意味する
- SPI(スケジュール効率指数)
- 「SPI=EV/PV」で算出し、1.0より大きければスケジュール進み、1.0ちょうどで計画通り、1.0より小さければスケジュール遅延を意味する
もし当てはまる字句が分からない場合でも、後に登場する表2でCPIとSPIが記載されているので、この表の値から式を導出することも可能になっています。
※差異を求める場合でも指数を求める場合でも、EVは必ず式の前側にきます。後はコストであればAC、スケジュールであればPVを使うだけです。これを頭に叩き込みましょう。
設問2
本文中のd~fに入れる適切な数値を答えよ。答えは,d,fは整数で,eは小数第3位を四捨五入して小数第2位まで求めよ。
解答入力欄
- d:
- e:
- f:
解答例・解答の要点
- d:120
- e:0.88
- f:25
解説
〔dについて〕
C社が参加するタスクは、t1、t5、t6、t7の4つです。C社スタッフの人件費を求めるには、C社が単独で行うタスクであり、かつPVが計上されているt6の数値に着目するのが適切です。
t6は2人月のタスクであり、当初の予定では現時点までに50%が進んでいる、すなわち1人月の作業が完了している予定だったことになります。その作業に割り当てられていた予算が120万円なのですから、C社スタッフの1人月当たりの人件費は「120万円」であることがわかります。
※B社スタッフの1人月当たりの人件費が90万円というのもヒントになっています。表2の数値を使って90万円になるものを探すと、t2の数値を使って「PV:540万円÷6人月=90万円」に気付けるからです。
∴d=120
〔eについて〕
設問1の解説通り CPI=EV/AC で求めます。t1のEVは350万円、ACは400万円なので、
350万円÷400万円=0.875
(設問の指示により小数第3位を四捨五入)0.88
∴e=0.88
〔fについて〕
t6のPVは120万円、EVは60万円です。再度確認すると、PVは現時点までに完了予定だった作業に割り当てられていた予算、EVは実際に完了した作業に割り当てられていた予算ですから、2つの数値よりt6が当初計画の半分までしか進んでいないことがわかります。これは SPI が0.5になっていることからも確認できます。当初計画ではt6全体の50%まで進んでいるはずだったので、その半分は「50%×50%=25%」になります。
また、t6全体のPVが「120万円×2人月=240万円」なので、「60万円÷240万円=25%」と求めることもできます。
∴f=25
C社が参加するタスクは、t1、t5、t6、t7の4つです。C社スタッフの人件費を求めるには、C社が単独で行うタスクであり、かつPVが計上されているt6の数値に着目するのが適切です。
t6は2人月のタスクであり、当初の予定では現時点までに50%が進んでいる、すなわち1人月の作業が完了している予定だったことになります。その作業に割り当てられていた予算が120万円なのですから、C社スタッフの1人月当たりの人件費は「120万円」であることがわかります。
※B社スタッフの1人月当たりの人件費が90万円というのもヒントになっています。表2の数値を使って90万円になるものを探すと、t2の数値を使って「PV:540万円÷6人月=90万円」に気付けるからです。
∴d=120
〔eについて〕
設問1の解説通り CPI=EV/AC で求めます。t1のEVは350万円、ACは400万円なので、
350万円÷400万円=0.875
(設問の指示により小数第3位を四捨五入)0.88
∴e=0.88
〔fについて〕
t6のPVは120万円、EVは60万円です。再度確認すると、PVは現時点までに完了予定だった作業に割り当てられていた予算、EVは実際に完了した作業に割り当てられていた予算ですから、2つの数値よりt6が当初計画の半分までしか進んでいないことがわかります。これは SPI が0.5になっていることからも確認できます。当初計画ではt6全体の50%まで進んでいるはずだったので、その半分は「50%×50%=25%」になります。
また、t6全体のPVが「120万円×2人月=240万円」なので、「60万円÷240万円=25%」と求めることもできます。
∴f=25
設問3
タスク t1~t8 について,本文中の下線部のように判断できる理由を,表2中で算出された値を根拠として35字以内で述べよ。
解答入力欄
- o:
解答例・解答の要点
- o:・タスクt2とタスクt6のSPIが0.85を下回っているから (29文字)
・現在進行中のタスクのSPIが0.85未満だから (23文字)
解説
問題文には対応策を検討する際の基準として、「今回のプロジェクトでは進捗に当初計画比15%よりも大きな遅れが認められたタスクがあるときに,計画変更などの対応策を検討することにした」と記述されています。
SPIは当初計画に対する進捗実績の比率であり、進捗実績が当初計画通りであればSPIは1.00になります。一方、進捗が計画より遅れるとSPIは1.00を下回り、当初計画比の-15%に達した場合はSPIが0.85となります。つまり、対応策を検討する必要があるのはSPIが0.85を下回るタスクがあるときです。
表2を見るとプロジェクト全体のSPIは0.86ですが、SPIが0.85未満であるt2およびt6が存在するので、プロジェクトの方針に従い何らかの対応策が必要であると判断できます。
∴・タスクt2とタスクt6のSPIが0.85を下回っているから
・現在進行中のタスクのSPIが0.85未満だから
SPIは当初計画に対する進捗実績の比率であり、進捗実績が当初計画通りであればSPIは1.00になります。一方、進捗が計画より遅れるとSPIは1.00を下回り、当初計画比の-15%に達した場合はSPIが0.85となります。つまり、対応策を検討する必要があるのはSPIが0.85を下回るタスクがあるときです。
表2を見るとプロジェクト全体のSPIは0.86ですが、SPIが0.85未満であるt2およびt6が存在するので、プロジェクトの方針に従い何らかの対応策が必要であると判断できます。
∴・タスクt2とタスクt6のSPIが0.85を下回っているから
・現在進行中のタスクのSPIが0.85未満だから
設問4
プロジェクトの計画変更について,本文中のg,hに入れる適切な字句を答えよ。
解答入力欄
- g:
- h:
解答例・解答の要点
- g:CPI
- h:クリティカルパス
解説
〔gについて〕
空欄には表2からわかること、かつ、小さすぎるとタスクの進め方を変える必要があることが入ります。
EVMではスケジュールとコストの両面から進捗を管理します。スケジュールについてはSPIの値から対応策の検討が必要と判断されていますが、コスト面についても考慮する必要があります。コスト面(生産性)を表すCPIは、t2が0.96、t6が1.00とほぼ計画通りになっています。よって、表2の「CPI」を見てタスクの進め方には大きな問題がないと判断したと考えられます。
∴g=CPI
〔hについて〕
作業遅れが生じてもプロジェクト全体のスケジュールに影響がないのは、その作業が「クリティカルパス」上にないからです。
アローダイアグラムより、プロジェクト開始から完了に至る工程の流れには、以下の2通りがあります。
∴クリティカルパス
空欄には表2からわかること、かつ、小さすぎるとタスクの進め方を変える必要があることが入ります。
EVMではスケジュールとコストの両面から進捗を管理します。スケジュールについてはSPIの値から対応策の検討が必要と判断されていますが、コスト面についても考慮する必要があります。コスト面(生産性)を表すCPIは、t2が0.96、t6が1.00とほぼ計画通りになっています。よって、表2の「CPI」を見てタスクの進め方には大きな問題がないと判断したと考えられます。
∴g=CPI
〔hについて〕
作業遅れが生じてもプロジェクト全体のスケジュールに影響がないのは、その作業が「クリティカルパス」上にないからです。
アローダイアグラムより、プロジェクト開始から完了に至る工程の流れには、以下の2通りがあります。
- t1→t2→t3→t4→t8
- 1.0+2.0+1.5+2.0+3.0=9.5月
- t1→t5→t6→t7→t8
- 1.0+1.0+2.0+1.0+3.0=8.0月
∴クリティカルパス